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どうしたいか解らない病の処方箋

第七回 自分と同い年の人たち、同じ誕生日の人たち

2017.01.31

文/菊地 成孔

絵/瓜生 太郎

こんなの検索すれば一発だろう。と言われればそれっきりだけれども、私は検索を含む、あらゆるインターネットによる知性や倫理が嫌いだ。単純にひどいことを書く奴がいる、とか、民の文章に対する読解力が落ちた、とか、あらゆる民に等しく「表現の自由」ならびに「発信の自由」なんか与えちゃって、大混乱が起きるに決まってんじゃん! 未だに「奴隷に公民権なんか与えたから片がつかないんだアメリカの人種問題は」というバカもいるんだぞ! とか、あんな国際法でも国内法でも裁けない、百鬼夜行の違法性の塊に依存することがイケてると思われてるなんて信じられない、違法性の蔓延でしかないじゃないか。とか、腑抜けたことを言っているんじゃない。インターネットによって共有的に得られる倫理や知性、は、同じくインターネットによって生じる、無法者やバカの量産と、すべて同じ方向、つまり、国家と通信屋がグルになって、国民を骨抜きにし、飼いならすという、本来の市民のパワー(フランス革命のような!!)を封殺して家畜化する、という方向に定まっており、その目的はただ一つ、スムースに戦争を起こすことだからである!! 戦争反対!!

とまあ、以下は、そういった高邁なポリシーを有する私が検索によってのみ書いた原稿である。検索は非常に便利だ。

 

<自分と同い年の有名人>

ダウンタウン(二人とも)
宮根誠司
KONISHIKI
ラッシャー板前
ダチョウ倶楽部 肥後克広(リーダー)
ブラッド・ピット
ジョニー・デップ
阿部寛
岩井俊二
松重豊
片桐はいり
木村祐一
野島伸司
藤谷美和子
今井美樹
唐沢寿明
板尾創路
高樹沙耶
松尾スズキ
リリー・フランキー
寺島進

*総括

ものすごい働き者だが、常に遊んでいるような、子供っぽさが抜けない傾向。これは生まれた時が東京オリンピックによる高度成長(1963年)、成人時がバブル真っ只中(1983年)。という「ジャックポットを2回も当てた」ことによるものであろう。ここ数年で(つまり「50過ぎたら」)「無理くり大人になろうとしている感」がある派と「相変わらずガキ感抜けず、調子良い派」に分かれる(藤谷美和子が類型にはまらないのは言うまでもないでしょ)。

 

<自分と誕生日が同じ有名人>

川端康成
大塚寧々
椎名誠
アレクサンドル・ソクーロフ
ボーイ・ジョージ
ブルーザー・ブロディ
エルネスト・チェ・ゲバラ
ドナルド・トランプ

*総括

性的な魅力が強く(え! トランプが?? 川端康成が!!! という反応をする人々はセクシーというものが何か全くわかっていない)、一度は極端な仕事ぶりによって歴史に名を残すが、一気に地味なマイペースの人になる派と、殺されるか自殺する派に分かれる。

 

<生年月日が自分と全て同じ有名人>

いない

*総括

孤独感。しかしこれはメディア的な孤独感であって、個人的な真理では全く寂しくない。むしろそんなの居たら嫌だ。因みに、プエルトリコで暗殺に近い形で殺されたプロレスラー、ブルーザー・ブロディとドナルド・トランプは生年も月日もどちらも同じ。私が知る限り、チェ・ゲバラまで含めて、このことを指摘している者は一人もいない。「トランプは暗殺される」と声高に言うそそっかしい者でも、「同じ誕生日のゲバラのように」と言ったら大炎上になると思っているのか? バカだ。なるわけがない。

クリエイターの紹介

菊地 成孔

音楽家 / 文筆家

1963年生まれの音楽家/文筆家/大学講師。音楽家としてはソングライティング/アレンジ/バンドリーダー/プロデュースをこなすサキソフォン奏者/シンガー/キーボーディスト/ラッパーであり、文筆家としてはエッセイストであり、音楽批評、映画批評、モード批評、格闘技批評を執筆。ラジオパースナリティやDJ、テレビ番組等々の出演も多数。2013年、個人事務所株式会社ビュロー菊地を設立。http://www.kikuchinaruyoshi.net/

瓜生 太郎

イラストレーター

東京都在住。ファッションをテーマに女性を描くことを得意とし、シンボルマークのような図形的描写とシンプルな色使いが特徴。主な仕事に、銀座三越ウインドウディスプレイや表参道ヒルズシーズンヴィジュアルなどがある。http://tarouryu.com/

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