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Now, Then!

アート好きモデルズの「銀クリ2019」体験記

2019.11.15

モデル/甲斐まりか、玖瑠実

写真/川原崎宣喜

文/乾純子(Roaster)

ヘア&メイク/鈴木智香(A.K.A)

芸術の秋がますます深まるこの時季。銀座では今、楽しいアート企画が開催されています。その名も、「銀クリ2019」。「資生堂ギャラリー」「ガーディアン・ガーデン」「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」「クリエイションギャラリーG8」という隣接する4つの注目ギャラリーをスタンプラリーで巡り、「銀座のクリエーション」を体感できるイベント(10月23日〜12月26日開催)。集めたスタンプの数に応じて、スペシャルなノベルティーが用意されているというから、アート好きならずとも気になる企画です。

今回は、ギャラリー巡りに興味津々の仲良しモデルズが「銀クリ2019」を体験! 楽しくて、時に刺激的な、銀座アートクルーズの模様をお届けします。

ふたりのアートクルーズは
「資生堂ギャラリー」から始まる

「銀クリ2019」を体験するのは、モデルの甲斐まりかさん(上写真、右)と、玖瑠実さん(左)。甲斐さんは休日に美術館を訪れたり、地方の芸術祭を見るため旅行もするというアクティブなアートファン。玖瑠実さんはアート初心者ながら、以前「資生堂ギャラリー」で展示を見て以来、ギャラリー巡りへの興味が急上昇中なのだとか。

待ち合わせは、11月1日にリニューアルしたばかりの「資生堂パーラー銀座本店」前で。鮮やかな赤色が目を引くこのビルの地下1階に、お目当ての「資生堂ギャラリー」はあります。現存する日本最古の画廊と言われる同ギャラリー、現代美術を始め新しいアートのムーブメントを常に発信し続けるハブスポットです。

「銀クリ2019」の期間内、12月22日まで開催されているのは、「資生堂ギャラリー」100周年を記念した展覧会「Surface and Custom」。ベルリンを拠点に活動するアーティストデュオ、ジェイ・チュン&キュウ・タケキ・マエダと、彼らが選んだ5名のアーティストによる作品で構成されています。

ふたりがさっそく見入っているのは、フランス生まれ・ブリュッセル在住のピエール・ルギヨン作「Mérida(Painting for Sale, by the Meter)」。福岡伝統の絣(かすり)職人と共同制作した「ペインティング」の模様は、なんとメキシコのバーで見かけた迷彩柄風の壁画とか。「斬新な和洋折衷! 現代アートは解説によって二度楽しめるから、パンフレットやチラシを熟読したくなります」と甲斐さん。

奥に進むと、大型スクリーンがお出迎え。ニューヨーク在住のカリッサ・ロドリゲスによる「The Maid」は、アメリカ人アーティスト、シェリー・レヴィーンがつくる卵型の彫刻シリーズ「ニューボーン」の“所蔵先”に目をつけたユニークな映像作品です。個人邸宅や文化機関といった所蔵スポットの数々を、ニューヨークからロサンゼルスまで一日にわたって辿っていきます。

会場中央で存在感を放つ不思議な段ボールアートは、ストックホルム生まれ・ベルリン在住のクララ・リーデンが、この展覧会のために東京に滞在して制作したという新作。街にあるゴミ箱や標識、フェンスなどさまざまな素材を利用するリーデン。今回東京で見つけたのは、段ボールと、工事現場の案内などで使われるポールでした。「私たちがふだんなにげなく目にしているものも、海外のアーティストには面白い素材に見えているんですね!」と驚く玖瑠実さん。作品のそばにそっと佇んでみれば、ふたりの姿もまるでアートの一部みたい。

ペインティングから映像、立体作品まで、バリエーション豊かなアートに触れたあとは、お待ちかねのスタンプタイム。各会場の受付に設置されている「銀クリ2019」のスタンプ台紙を受け取って、指定枠にポンッ。1展覧会につき、スタンプひとつ。3つ集めるごとに、オリジナルの缶バッジがもらえます。「スタンプラリーって、なんだかワクワクするよね」「今日は一気に巡って缶バッジをゲットしよう」と盛り上がり中。

「資生堂ギャラリー」では、『花椿』のバックナンバーをもらうこともできます。「毎号インパクトのある表紙ビジュアルで、集めて飾っておきたくなります」「バックナンバーがどこで手に入るのか知らなかったので、今日出合えてうれしい!」と、欲張り気味にひとり2冊ずつ。思わぬ収穫もあって、ちょっぴりうれしい芸術散歩の始まりとなりました。

それでは、つぎのアートスポットへ向かいましょう。

「ガーディアン・ガーデン」で
若手クリエーターの才能と出逢う

続いてふたりが訪れたのは、「資生堂ギャラリー」から徒歩10分ほどの場所にある「ガーディアン・ガーデン」。1990年にオープンしたコンペティションギャラリーで、主にグラフィックと写真の分野で公募展を開催。これからの活動が期待される若手クリエーターたちを応援しています。

この日は、第21回写真「1_WALL」展が開催中(11月9日に終了)。審査を通過した6名のファイナリストが、会場の1WALL(壁1面分)を使って自由に展示するグループ展です。展覧会期間中に開かれる公開最終審査会で6名がプレゼンを行い、その場でグランプリが決定されるというシステムもユニーク。甲斐さんが見つめているのは、今回見事グランプリに輝いたRyu Ikaによる「Big Brother is Watching you」。グランプリ特典は、来年の個展開催権だとか。

一風変わった展示を見つけて、笑みがこぼれる玖瑠実さん。ファイナリストのうちのひとりで、動物の匂いをテーマに作品をつくり続ける魏子涵(Wei Zihan)の「情動の匂い」は、こだわりの展示方法も見どころ。ずらっと並べられた瓶には、動物の写真とともに、それぞれの匂いを彷彿とする説明文が添えられていました。表現も独特で、「寿司のネタとシャリの間に付いているわさび」なんてものも。思わず想像力を掻き立てられます。

なにやら意味深なモニターとヘッドフォンを見つけて、恐る恐る装着。すると、聞こえてきたのは「ハァハァ…フゥフゥ…」と耳元でささやくような呼吸のリズム。よく見るとモニターにはうっすらと、呼吸する人々の顔面が映し出されていました。“息を合わせる”という行為を映像で表現する片山達貴の、作品名はずばり「息の波」。「鳥肌が立った…」とつぶやくふたり。芸術は時に、刺激が付きものです。

ちなみに「ガーディアン・ガーデン」でのつぎの展覧会は「ふろしき百花店」(11月26日〜12月21日開催)。167人のクリエーターと京都の職人がつくったオリジナルの風呂敷を展示・販売するというもので、これもまた話題になりそうな企画! 本日このあと訪れる「クリエイションギャラリーG8」との同時開催です。

さてふたりは、「ガーディアン・ガーデン」で2つ目のスタンプを無事ゲット。缶バッジの獲得条件となる3つ目のスタンプを求めて、つぎなるギャラリーへと歩を進めます。

「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」で
「日本のアートディレクション展」を堪能

銀座ギャラリー巡り、3スポット目は「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」。1986年の開設以来、グラフィックアート&グラフィックデザインの魅力を、展覧会やトークイベントを通して発信し続けています。

11月16日まで開催されているのは、毎年大人気の展覧会「日本のアートディレクション展2019」。2018年5月から2019年4月までの1年間に発表・使用・掲載された約8,500点もの応募作の中から、ADC(東京アートディレクターズクラブ)全会員79名の3日間にわたる審査により、受賞作を選出。そのうち、ここ「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」にはADC会員の、このあと立ち寄る「クリエイションギャラリーG8」には一般(非会員)の受賞作品・ノミネート作品がそれぞれ展示されています。

ADC賞は、日本の広告やグラフィックデザインの最先端の動向を反映する賞として、国内外から大きな注目を浴びています。確かに、おなじみの商品パッケージから、世間を賑わせたCMやポスターまで「見たことある!」のオンパレード。「デザイン性とメッセージ性を兼ね備えた広告作品を見るのが大好き」という甲斐さんは、実は去年のADC展にも足を運んだのだとか。「毎回気になる展示なので、今年も見られて満足です」

『花椿』にゆかりのある受賞作もいくつか展示されています。上は、『花椿』のデザインにもたずさわっている新村デザイン事務所・新村則人が手がけた「無印良品キャンプ場」のポスターデザイン。環境問題に取り組む企業らしく、捨てられていた段ボールを利用し、紙のキャンプ場を表現。テント(黄色)はみかん、湖(青)は靴、草原(緑)は緑茶の段ボールなのだとか。

下は、元・資生堂宣伝部で『花椿』のアートディレクターも務め、2017年の独立後は日本を代表するグラフィックデザイナーとして活躍を見せている澁谷克彦による作品。『花椿』のウェブサイトで連載中のtofubeatsによる音楽企画「花椿アワー」に使われているモーショングラフィックスです。

プロダクトコーナーでは、資生堂のメイクアップアイテムも発見。「なにげなく手にしたり使ったりしているメイク道具も、よく見ると確かに、どれも美しく計算されたむだのないフォルムばかりでグッドデザイン!」

さてついに、3つ目のスタンプ捺印のとき! 台紙にスタンプが3つ溜まるごとに、井上千聖、KIGI、髙田唯・一乗ひかるがそれぞれデザインを担当したオリジナル缶バッジ5種の中から、好きな1種をその場でもらうことができます(数量限定、なくなり次第終了)。

たっぷり迷った結果、玖瑠実さんは井上千聖デザインの愛らしい唐草柄、甲斐さんは一乗ひかるが描き下ろしたふろしき柄のイラスト缶バッジに決定! どちらも直径76mmと大きめサイズもポイントです。ふろしきのイラストは、「ガーディアン・ガーデン」と「クリエイションギャラリーG8」で同時開催される「ふろしき百花店」のメインビジュアルにもなっているもの。「スタンプラリーの対象ギャラリーが全部ご近所にあるから、3カ所すぐにハシゴできて、缶バッジがもらいやすいのもうれしいですね」とふたり。お気に入りのバッジを手にポーズ。

「日本のアートディレクション展2019」終了後、11月28日からは、スイスを代表するグラフィックデザイナー、カール・ゲルストナーの日本初となる個展「動きの中の思索」を開催。こちらももちろん「銀クリ2019」のスタンプラリー対象の展覧会なので、ぜひチェックを。

「クリエイションギャラリーG8」に 立ち寄って、
ADC展をハシゴ!

「ギンザ・グラフィック・ギャラリー」まで来たのなら、そこから徒歩約10分の「クリエイションギャラリーG8」への立ち寄りはマスト。デザインを通じて、豊かな生活の提案や、さまざまな出会いをつくる場所を目指すギャラリーで、11月16日までは「日本のアートディレクション展2019」(一般作品)、11月26日〜12月21日は「ふろしき百花店」が開催されます。先ほどの余韻を残しつつ、引き続き「日本のアートディレクション展2019」を見て回ることに。

「あ! ポカリスエットのポスターだ」「これは三井住友カードのCMだね!」と、ここでも有名な広告作品が続々登場。さすがADC賞受賞&ノミネート作品、どれも記憶に鮮烈に残っているものばかりで、広告にまつわる思い出話をしているうちに、あっという間に時が過ぎていきます。「親しみを持って見られるので、初心者でもアートを身近に感じますね。いろんな芸術の形を提示してくれて、ギャラリーって面白いなと実感しました」と玖瑠実さん。すっかりアート巡りのトリコになった様子です。

こちらでも、『花椿』や資生堂ゆかりのデザインを見つけました。上は、『花椿』の別冊付録「花椿文庫」のブックデザイン。そして下は、今年のADC賞受賞作品でもある、資生堂のアートディレクター・丸橋桂による、資生堂銀座ビルのウインドウディスプレイ「Wording from Shinzo Fukuhara」。吹き出しを模した複数のディスプレイに、資生堂の初代社長・福原信三のことばがネオンのように浮かび上がる、不思議でポップなビジュアル。設置当時、通りを行き交う人々の目を奪った話題の作品です。

楽しい作品の数々にテンションが上がったふたり。ユニークな展示ポスター(ポスタータイトルは「こたつを超えてゆけ!」)のイラストのポーズを真似たりとちょっぴりはしゃいでから、4つ目のスタンプを押してもらいに受付へ。1日で集められるスタンプは、4つがマックス。このあと会期を控えている3つの展覧会を後日訪れることで、スタンプをさらに集めることができます。

スタンプ6つで缶バッジをもうひとつ、そして7つすべて集まったら、前述のアートディレクター・丸橋桂デザインのオリジナルノートが進呈されます(数量限定、なくなり次第終了)。表紙には、長年“資生堂唐草”を描き続けてきた描版師・薄希英(すすき・まれひで)による、『花椿』のための新しい唐草模様「Forest of Karakusa」が。裏は、繊細なピンクの線の格子。とってもハイカラな雰囲気の1冊です。

芸術散歩のフィナーレは
「資生堂唐草原画展」へ

ここからは、少しだけ番外編。「銀クリ2019」のスタンプラリー対象ではないけれど、併せて訪れたい展示が近くで開催中だと聞きつけて、「クリエイションギャラリーG8」から徒歩5分ほどのところにある「資生堂銀座ビル」へ向かうことに。こちら、実は資生堂の本社、銀座オフィスのビルなのですが、1階のエントランス・ウインドウや2階のコミュニケーションスペースは、会期中なら誰でも自由に観覧できる場所として開放されています。

現在開催されているのは、1920年から資生堂の商品や広告にデザインされ続けている“資生堂唐草”がテーマの「資生堂唐草原画展」。エントランスに足を踏み入れて、まずびっくり! 頭上では、無数の不思議なモニュメントがゆらゆらと揺れています。色とりどりのペーパーアートは、よく見ると、化粧品を入れる箱を製造する過程で出た端材。この「新しい唐草」をテーマにしたアート作品「GINZA KARAKUSA BIOTOPE」は、2020年1月17日まで1階エントランス・ウインドウで展示中です。

エスカレーターでコミュニケーションスペースへと上がると、そこは一面、多種多様な唐草模様の世界! 唐草は、植物の生命力と、しなやかに無限に拡がる可能性を表し、資生堂を象徴するデザインとして現在まで受け継がれているもの。2階では、描版師・薄希英が約60年にわたって描き続けた原画や、制作プロセスにまつわるものを初公開(2階の会期は12月13日まで)。歴代の唐草模様が施された貴重な商品や、歴史的なグラッフィックをひとつひとつ眺めながら、「なんて繊細で美しいデザインなんだろう…」と感動しきり。まさに女子心をわしづかみにされる展示でした。

会場には“さわれる”唐草も。しばし目を閉じて、手のひらに意識を集中しながら凹凸を触感で体験。「今日は、見たり聞いたり触ったり、いろんなタイプのアートにたくさん出合いました。ぜんぶ徒歩圏内なのに、なんだかアート巡りの旅に出たみたいな充実感!」と甲斐さん。玖瑠実さんは「初めて本格的にギャラリーをハシゴしてみて、もっとアートを知りたいという気持ちが増しました。こうやって芸術に触れている時間そのものも、すごく贅沢で大切なんですね」。

そして最後に、「『資生堂唐草原画展』を見たら、スタンプラリーのコンプリート特典・唐草デザインのノートがますます欲しくなりました!」と声を揃えました。「11月下旬から始まる展覧会にも足を運んで、スタンプ7つ制覇を目指します!」。ふたりのアートクルーズは、後日まだまだ続きそうです。

「銀クリ」スタンプラリー詳細はこちらから⇃
「銀クリ」スタンプラリーHP

各ギャラリーのHPはこちらから↓

◆資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビルB1
11:00〜19:00(日曜・祝日〜18:00) 月曜休館
03-3572-3901 入場無料
資生堂ギャラリーHP


◆ガーディアン・ガーデン
東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビルB1
11:00〜19:00 日曜・祝日休館
03-5568-8818 入場無料
ガーディアン・ガーデンHP


◆ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F・B1
11:00〜19:00 日曜・祝日休館
03-3571-5206 入場無料
ギンザ・グラフィック・ギャラリー HP


◆クリエイションギャラリーG8
東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
11:00〜19:00 日曜・祝日休館
03-6835-2260 入場無料
クリエイションギャラリーG8 HP


◆資生堂唐草原画展(10月15日〜12月13日 ※1Fは〜2020年1月17日)
東京都中央区銀座7-5-5 資生堂銀座ビル
1F エントランス・ウインドウ、2F ギンザコミュニケーションスペース
11:00〜19:00 土曜・日曜・祝日休館 入場無料
資生堂唐草原画展について

クリエイターの紹介

甲斐まりか

モデル

1995年生まれ。日本とタイのハーフで、英語も堪能なバイリンガルモデル。3歳で東京を離れたあと、マレーシア、タイ、ドイツ、イギリスとインターナショナルな環境で育ちながら感性を磨く。数年前から日本に拠点を移し、ファッション誌やCMなどで活躍中。趣味はカフェ巡りとアート巡りと旅行。
https://www.instagram.com/mari_ka95/

玖瑠実

モデル

1999年生まれ。さまざまなファッション誌・ビューティー誌を中心に活躍。CM、広告、TVへの出演など活躍の場は拡大中。現在はTGC主催の公式ランニングチーム『TOKYO GIRLS RUN』メンバーに選ばれ、マラソンにも取り組んでいる。
https://www.instagram.com/kurumi_0125_/

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