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Now, Then!

世界サウナ紀行 Vol.4 Destination : Riga (Latvia)

2018.07.27

文、写真/大智由実子

イラスト/ほりゆりこ

さて、今回の旅の目的地はフィンランドから移動してバルト三国のひとつ、ラトビアです。「サウナと言えばフィンランド」とイメージする方が多いかと思いますが、実はサウナ文化はフィンランドを含む北欧各国を始めヨーロッパ全土に古くから根付いているのです。そして、ところ変わればサウナの様式やルールも微妙に異なるのが面白いところです。その国のサウナ施設に初めて行くと、まずは現地の人たちの行動を見てマネをしつつ「ふむふむ、この国ではこういうルールなのね」と学びます。その様式やルールというのがお国柄を反映していて大変興味深いのです。
 話を戻しまして、今回のサウナはラトビアの首都リガにあるバルタピルツ(BALTĀ PIRTS)という施設です。ラトビアではサウナのことをピルツと呼びます。リガの中心部からこの施設まではバスでも行けますが、街全体が世界遺産に指定されている旧市街から徒歩で30分ほどということなので、道すがらの新市街のアール・ヌーヴォー建築の建物を見ながら歩いて行くことにしました。

荘厳な佇まいの 老舗ピルツに到着!

 そしてようやく辿り着いたその施設は想像していたよりも大きく、石造りの要塞のようなどっしりとしたいかついファサードに「おぉ!」と一瞬ひるみました。それもそのはず、創業はなんと今から100年以上前の1908年という老舗中の老舗。一歩足を踏み入れると、数年前に内部を大規模リノベーションしたようで、中は綺麗になっているものの、やはり歴史を感じさせるクラシカルな造りになっています。
 まずエントランスで目を引いたのが、中世ヨーロッパのアポセカリー(薬局)を思わせるガラスケースに入ったヴィヒタ(※白樺の枝葉を束ねたもの。サウナの中で身体を叩いて使います)や、戸棚に並んだサウナの中で使うと思しきビューティープロダクトの数々。興味津々でいろいろと見せてもらうと、それらはハンドメイドのオリジナルプロダクトで、カモミールやジュニパーなどさまざまなハーブを使ったソルトやはちみつスクラブなど、サウナの中で身体に塗って使うものでした。しかも全てオーガニック。フィンランドを始めヨーロッパのサウナでは、ソルトやはちみつ、泥といった自然のものを顔や身体に塗ってサウナに入る美容法があり、信じられないほどお肌がトゥルットゥルになるのです。とりあえず私ははちみつスクラブを爆買いしました。

エントランスにあったヴィヒタ
ハンドメイドのはちみつスクラブ

 そしていよいよサウナへ。浴室全体はわりと広めで綺麗で、サウナとスチームサウナ、大きなプールがあります。サウナ室は薄暗くて6段ほどあるひな壇式で、みなさんロウリュ(サウナ室にある熱したサウナストーンに水をかけ、高温の水蒸気を一気に発生させること)をしていて、かなり高温になっていました。さっき買ったはちみつスクラブを早速試してみたくてうずうずしていた私は、サウナはそこそこに、いそいそとスチームサウナに入って身体にぬりぬり…。はちみつの甘い香りにうっとりしながら数分。スチームサウナを出て汗と身体についたはちみつを流し、プールにドボン!と入りました。プールの水温はそれほど冷たくなかったように思いますが、それでもプールサイドに腰掛けていると例の恍惚感がジワジワと襲ってくるではないですか。一般的に、スチームサウナは湿度があるためドライサウナと呼ばれる通常のサウナ室より温度は低いので、「スチームサウナはサウナにあらず。あれじゃ気持ちよくなれない」という勝手な思い込みがあった私は、「あら? 私ったら、今スチームサウナで気持ちよくなっちゃってる⁉︎」と朦朧としながら驚きました。しかもお肌はしっとり、トゥルットゥルになっているのです。
 正気に戻ってから浴室を見渡すと、常連さんらしきマダムたちも持ち込んだ何かを身体にぬりぬり…。マダム同士で背中にもぬりぬりし合っていました。「美しくなりたい」という女性の願望は万国共通、いくつになっても変わらぬものなのですね。負けじと私もはちみつを塗りたくってスチームサウナとプールを往復していました。
 サウナから上がり、休憩室で少し休んでいたらお腹が空いてきたので、施設内にあるおしゃれなカフェへ。いつもサウナで気持ちよくなった後は感性がバッキバキに鋭くなっているのでたいがい何を食べてもめちゃくちゃ美味しく感じるのですが、ここのカフェは想像の斜め上をいく美味しさで悶絶! しかも見た目も美しくてヘルシー! 日本の温浴施設の食堂のイメージからはかけ離れたレベルで、こんな施設が日本にあったら女性に大人気になること間違いなしです。気持ちよくて美味しくて綺麗になれる…貪欲な女性の欲望を全て満たしてくれるバルタピルツ、おそるべし!

スイートポテトのフライ。お皿も美しい。

BALTĀ PIRTS

Tallinas ielā 71,Rīga, Latvia LV-1009

TEL: +371 67271733
営業:8:00〜20:00(金、土は21:00。月、火は休み)
http://www.baltapirts.lv/en/home

クリエイターの紹介

大智由実子

ライター

洋書のディストリビューションを行うMARGINAL PRESSを立ち上げ、世界各国のインディペンデントマガジンやアートブックを日本に紹介。2016年よりサウナの魅力にはまる。趣味は世界のサウナ巡り。サウナ・スパ健康アドバイザーの資格も持つ。
https://www.marginal-press.com/

ほりゆりこ

イラストレーター

1978年大阪生まれ。デザインやイラストの本職のかたわら「大自然と一体化」をテーマに主に関西を拠点に活動するTent Sauna Partyに所属。著書にタナカカツキ(日本サウナ・スパ協会公認)との共著『はじめてのサウナ』がある。また、リトアニアのサウナハットアーティスト、ヴィクトリアからワークショップを受け「TSP式サウナハット」を考案・制作。お気に入りのサウナは「延羽の湯・鶴橋店」
http://tentsaunaparty.com/

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