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Now, What!

sacai に見るリアルなモード、7つのワザ

2017.06.28

文/呉 佳子

ファッショントレンド研究を担当していると言うと、「へぇ、じゃあ次のトレンドは何ですか?」と聞かれることが多い。

とっさに“ピンク”とか“ヒョウ柄”とかシンプルで分かりやすい答えで間に合わせるのだが、やっぱり時代感を最も表すのは、シルエットやバランス感だな~と最近つくづく思う。

特にsacaiの服に袖を通すたびにその思いを新たにする。
そして、私のワードローブにsacaiの服はわりと、というか凄く多く、二日と着なかった試しがない。

というわけでほとんど毎日、この思いが強化されていっているのだ。トレンドは?と聞かれたときに、そんな省エネ回答でいいのか。色や柄、ディテールの分かりやすさもいいのだけれど、もっと本質的なことに迫りたい。そんな思いがふつふつと湧いてきた今日この頃、sacaiの17-18秋冬コレを題材に、リアルなモードの取り入れ方に向き合ってみようと思います。

1999年わずか5型のニットコレクションから始まったsacai(デザイナー:阿部千登勢)は、2011年にはパリコレデビューを果たし、今や年商100億円超を誇る世界で最も注目の日本ブランド。モードのツボを押さえつつも日常的に着られるスタイルに定評あり。Photo © sacai

1. 今どきのシルエットはこれ!:ボリューム逆三角

肩のフォルムや襟ぐりの深さ、横から見たときの背中のラインなど、シルエットの絶妙さがsacaiの魅力であり、そのシルエットにこそ、今のトレンドの“らしさ”がある。今季のバランスは、丸みのある超ビッグサイズのトップに、身体に沿ったタイトなスカートを合わせる逆三角形型。50年代のバレンシアガのバレルライン(バレル=樽)あるいはディオールのオーバルライン(オーバル=楕円)を思わせるエレガントでドラマティックなシルエットだ。

2. 調節可能なフォルム:ジップ使い

そんなエレガントなシルエットのアクセントになっているのは、さまざまなところにつけられたジップ。このジップを開けて着るのと、閉めて着るのでは、シルエットの表情が大きく変化する。スカートやパンツのラインを変えるだけでなく、太ももの素肌がのぞいたり、膝小僧が見え隠れするなど、ほんのりとセクシーさも漂わせて。ここ数シーズン注目を集めてきているカスタマイズ感を巧みに取り入れたディテールだ。

Photo © sacai

3. 今季押さえるべき柄:ブリティッシュチェック

本稿ではひと言で説明し難いトレンドを語りたい、と掲げているものの、やっぱり分かりやすい意匠も重要。17-18秋冬の代表的な柄は英国風の伝統的なチェックだ。それもタータンなど華やかなものよりも、千鳥格子やグレンチェック、タッターソールチェックなど、地味めなチェックがさまざまなブランドで人気。地味だからこそ、このsacai のルックのように、コートもパンツも全部同じ柄で揃えたり、インパクトのある着こなしが映える。

4. 癒されたい、安心したい:パジャマとフワフワ襟元

ファッションには世相や人々の気分が少なからず反映されるもの。パジャマスタイルが息長くトレンドにあるのも、目まぐるしく変化する情報社会、あるいは世界的な不況やテロなど不安感が増すばかりの社会情勢の中で、「癒されたい」という気持ちやリラックス感を求める流れが継続しているから。
ふわっとソフトに包み込まれる安心感を引き出すスタイルも今季大きく浮上した。フワフワの質感に首元がしっかりと包まれれば力強い一歩が踏み出せそう。

パジャマ風のスタイル
包み込まれる襟もと

5. 「sacai化する」というワードも出現:ミックス感覚

さまざまな素材の組み合わせ、異なるテイストのミックス、意外なモチーフの掛け合わせなど、既成概念を軽々と飛び越えていろいろな要素を合わせるデザインは、sacaiがデビュー以来続けるオリジナリティの源泉。今季もより鮮やかにそのスピリットが現れており、VOGUE USAが「sacai-fy(sacai化する)」という新しいファッション用語を提唱したほど。

スキージャケット×シャネル風ツイードジャケット
ミリタリーテイストのMA-1×デイドレスの繊細な刺繍
カジュアルなネルシャツ生地で作ったイブニングガウン
大きめのトートに注目 Photo © sacai

6. どさっと入れるのが今の気分:大きめトート

先シーズンからスタートしたsacaiのバッグ。新作はガーデンリサイクルトートからインスピレーションを得た大きめサイズだ。実は今季の全体傾向としても、ちょっとした小旅行の荷物はすっかり入ってしまいそうな大きなバッグがたくさん登場している。実際の売れ筋となりそうなのは小ぶりサイズとの見方もある一方で、改めて目にする大きめバッグはやっぱり新鮮。今までの小さなバッグの容量に合わせてまるでパズルのように持ち物を整理整頓していた今までの習慣から、解放されよう!

7. フレッシュな透明感は不変:スーパーナチュラルメイク

コレクションで登場するsacaiガールのメイクはいつも自然体。今季もファッションにさまざまな要素が入っているので、ボリュームのあるメイクではトゥーマッチ。引き算したスーパーナチュラルなメイクは、みずみずしく自然な印象ながらも、キリッと涼しい眼差しが静かな存在感を放つ。透明感のポイントは、肌にのせるグロス。うちからにじみ出るようなナチュラルなツヤ感が決め手だ。

口元に輝きを与えるのがリップグロスならば、“肌グロス”は肌の奥から発光するような自然なツヤと立体感を与えるもの。PLAYLISTスキンテクスチャーヴェールを使用
透明感をキープしつつ自然な血色のある肌に見せるには、クリームチークがおすすめ。PLAYLIST スキンエンハンシング フェースカラーRDs04をほおの中央にぼかす

クリエイターの紹介

呉 佳子

ファッションディレクター

資生堂ファッションディレクター
ファッショントレンドの分析・研究やトレンド予測を担当。毎シーズン、NY、ミラノ、パリのコレクション取材で華麗に世界を飛び回る、、、だけならカッコいいのですが、家では2児(長男5歳、長女1歳)の世話に明け暮れ、髪を振り乱す毎日。

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