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花椿交差点

寺尾紗穂が歌う、昭和の流行歌「洒落男」

2016.11.28

演奏/寺尾 紗穂

写真/大森 克己

(写真:吉次史成)

ウェブ花椿で連載中の「銀座時空散歩」。寺尾紗穂(文)、大森克己(写真)のコンビによる人気企画のスピンオフ版として、2016年11月に新装刊した『花椿』0号では、戦前の流行歌「洒落男」を題材に、寺尾によるエッセイと大森の写真を掲載しています。

 ここでは、文筆家であり音楽家でもある寺尾が、エッセイの主題である「洒落男」をカバーしたオリジナル音源を公開。寺尾が歌う「洒落男」を聴きつつ、昭和初期の「同時代人が見た等身大の、人間臭い銀座」(寺尾紗穂『花椿』0号エッセイより)を想像してみてください。

「洒落男」

作詞:坂井透、作曲:Frank Crumit
ボーカル・ピアノ:寺尾紗穂、ベース:伊賀航

1 
俺は村中で一番
モボだと言われた男
己惚れのぼせて得意顔
東京は銀座へと来た


そもそもその時のスタイル
青シャツに真っ赤なネクタイ
山高シャッポにロイドの眼鏡
ダブダブなセーラーのズボン


吾輩の見染めた彼女
黒い瞳でポップヘアー
背が低くて肉体美
おまけに足までが太い


馴れ染めの始めはカフェー
この家は私の店よ
カクテルにウィスキーどちらにしましょう
遠慮するなんて水臭いわ


言われるままに二、三杯
笑顔につられてもう一杯
彼女はほんのり桜色
エッヘッヘしめたぞもう一杯


君は知っているかい僕の
親父は地主で村長
村長は金持ちでせがれの僕は
独身でいまだに一人


アラマアそれは素敵
名誉とお金があるなら
たとえ男がまずくても
私はあなたが好きよ


おおいとしのものよ
俺の体はふるえる
お前とならばどこまでも
死んでも離れはせぬ


夢かうつつかそのとき
飛び込んだ女の亭主
ものもいわずに拳固の嵐
なぐられて吾輩は気絶

10
財布も時計もとられ
大事な女はいない
恐いところは東京の銀座
泣くに泣かれぬモボ

クリエイターの紹介

寺尾 紗穂

音楽家 / 文筆家

1981年、東京生まれ。2007年、ピアノ弾き語りによるアルバム『御身』でメジャーデビュー。 CM、エッセイの分野でも活躍中。2014年11月公開の安藤桃子監督作品「0.5ミリ」(安藤サクラ主演)に主題歌を提供している。著書に『原発労働者』(講談社現代文庫)、『南洋と私』(リトルモア)などがある。http://www.sahoterao.com

大森 克己

写真家

1963年 神戸市生まれ。1994年第9回キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。国内外での写真展や写真集を通じて作品を発表している。主な写真集に『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)、『encounter』(マッチアンドカンパニー)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。http://www.instagram.com/explore/tags/ginzaspacetimewalk/

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